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「鳴海仙吉」伊藤整・著 . 「上海」横光利一・著

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先日、横光利一さんの「上海」の冒頭会話部分、記憶に頼って書きましたが、間違っているので書き直します。

参木は女と並んで座ったまま黙っていた。灯を消して るしふ(漢字がない) しているモーターボートの首を連ねて、鎖で縛られた桟橋の黒い足が並んでいた。
「煙草。」 と女は云った。
参木は煙草を出した。
「毎晩ここかい。」
「ええ。」
「もうお金もないと見えるな。」
「お金もないし、お国もないわ。」
「それゃ、困ったの。」
霧が帆桁にからまりながら湯気のように流れて来た。


若い頃読んだ伊藤整さんの、
「鳴海仙吉」 
昨日、再読、いや、内容はともかく、言い回しはほとんど忘れていたから、始めて読む感じ。
じつに面白い。
若い頃は気づかなかったことが、ピシピシ胸に迫ってくる。
文章の少し固い感じも、小生にはちょうどいい。

仙吉君の有閑と小生のそれとが似ており、理屈の付け方も似ていて、久しぶりに気持ちよく笑った。
カントの出し方なんて似ている、悪い気はしない。
ヒロインに、「幼子のようだ」と、形容するくだりがあり、小生も、「いま旅立ちの鐘が鳴る」で、幼子のようだね、と使っているが、真似ではないことを、ここに明記しておく。

伊藤整さんが娘さんと軽井沢の山荘の前庭で遊ぶ写真を、「オール読物」のグラビアで拝見したことがある。
娘さんはたしか、縄跳びに興じ、そばで愛娘を見つめる伊藤整さんの優しい横顔が忘れられない。
それから2年後、伊藤整さんは亡くなった。


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